
注目を集めるパワーアシストスーツ。どのような使い方が期待されているのか、その具体例を紹介します。
仕事の現場で
パワーアシストスーツは低価格が進むものの、まだ価格が高価であるためまずは業務用での普及が見込まれています。具体例を紹介します。
人手不足と高齢化が進む農業の現場で

2018年時点で日本の農業従事者の平均年齢は66.6歳。一般企業の定年退職の年齢を越えた人たちが日本の「食」を支えている現状があります。
農業は機械化が進められているとはいえ、肉体的に辛い重労働を伴います。農業の就業者数は2010年から18年の間に、260.6万人から175.3万人に減少しています。
パワーアシストスーツを着用することで、重い荷物の積み下ろしなどの作業が格段に楽になります。また、腰への負担も軽くなるため、体を壊す農業従事者が減ることが期待されており、既に一部地域のJAもパワーアシストスーツの販売を開始しています。
荷物の上げ下げのような「持ち上げ」作業だけでなく、例えば果樹の剪定のような上向き作業をサポートするパワーアシストスーツもあり、多くの作業に対応出来ます。
物流の現場で
物流の現場では日常的に重量のある荷物の移動作業が必要です。作業が肉体的に過酷であるため、人手不足が深刻化している業界でもあります。
パワーアシストスーツを作業者が着用することで、そうした重労働の負担が大幅に軽減されます。重い段ボール箱が「空箱のように感じる」ほど、パワーアシストスーツの効果は絶大です。
これまで物流の現場に就業していなかった女性や高齢者の労働も可能となり、人材確保あるいは生産性の大幅な向上が期待できます。
製造の現場で
工場内での荷物の移動など、製造の現場でもパワーアシストスーツの活用が期待されています。
例えば長時間溶接作業をする場合、溶接機を作業者が手で持ち続けるのは楽なことではありません。パワーアシストスーツを着用することで、まるで誰かに支えてもらっているような感覚で、作業の負担を軽減できます。

医療の現場で
パワーアシストスーツは医療分野でも活用が期待されています。
介護が激的に変わる
高齢者や障がい者の介護では、車椅子からベッドへの移動など要介護者の移動に伴い介護者の体に大きな負担の掛かる作業が多数発生します。介護業界では人手不足が叫ばれていますが、そうした重労働がその一因として指摘されています。
パワーアシストスーツは20Kg以上のアシスト力があるものもあるので、例えば要介護者が50Kgであれば介護者に掛かる負担は半分程度にまで軽減されます。
家庭でも
パワーアシストスーツは一般家庭でも活用も期待されています。
雪かきの労力が大幅に軽減
雪国を毎年悩ませているのが雪かきです。冬の間ずっと雪かきの作業をし続け、腰や体に負担を感じている人も少なくないでしょう。
パワーアシストスーツは雪かきの負担も大幅に軽減することが出来ます。秋田県は全国で始めてパワーアシストスーツを使用した雪かきの実証試験を2017年に行っており、心拍数などを計測した結果、労力が3分の1に軽減されたと報告されています。
パワーアシストスーツの中には電源を必要としないタイプもあり、水に濡れても故障しないという利点があるものもあります。
自宅での介護に
高齢者にともない自宅で介護を受ける人が急増しています。ベッドから車椅子への移動や、床ずれ防止のため体の向きを変えるなど、腰など身体的負担の掛かる作業が多数あり大変苦労している人も多くいらっしゃると思います。我が家でも以前経験がありますが、自宅での介護は外からは想像も出来ないほど大変なことです。
パワーアシストスーツを着用することで、そうした重労働の負担を大幅に軽減することが可能です。軽減されるのは介護者の肉体的負担だけですが、それだけでも大きな違いだと思います。